007ゴールデンアイ
「何それ?聞いた事ない」と思った人は多いだろう。このゲームはNINTENDO64で発売された「隠れた名作」なので世間的知名度が低い。(発売元は任天堂、開発は英国のレア社。レア社は任天堂の血が色濃い会社で、極めて任天堂っぽいゲームを開発する。独自の風合いもしっかり備えている。) 「隠れた名作」といっても初期の頃の名作だし、64を持っている人も少ないだろうから今更遊んでみる気は起きないと思うが、その通り、今となってはわざわざ遊ぶ必要はない気がする。ダレでも楽しめるゲームかというとそうでもない。 このゲームは映画で有名な007シリーズをモチーフにしている。映画に「ゴールデンアイ」という作品があって、それを忠実に再現。自分はゲームを遊んでから映画のほうを見たのだが、あまりにソックリソノママだったので思わず笑った。これだけ忠実に再現した上で、なおかつオモシロイゲームに仕上げているというのはかなりスゴイ。普通、映画やマンガをモチーフにしたゲームはつまらないものが多い。このゲームに関しては大きな例外といえる。 自分がこのゲームを知ったのはインターネットでだった。当時から、「オモシロイのにあまり知られていない」と評判で、ある時、任天堂が古い作品のいくつかを思いきり値下げして、その中に007ゴールデンアイが含まれていたので、なんとなく買ってみた。 ゲームの007ゴールデンアイは主人公(ジェームズ・ボンド)を視点にした3Dシューティングゲームとなっている。銃やライフルで敵を撃って先に進むわけだが、ただ単純にそればかりではクリアする事はできない。映画を見た人なら知っている通り、主人公のジェームズはイギリス諜報部のトップエージェントで、イギリス国防省の密命を受け、あらゆる犯罪組織に立ち向かっている、いわゆる「スパイ」だ。ただ敵を撃つだけでなく、与えられた特殊任務を遂行しなくてはならない。 敵を銃で撃つにしても、スパイなのだからなるべくひっそりと殺すのが大事になってくる。サイレンサー付きの銃は音がならないので周りに気付かれずに殺す事が可能なのだが、普通の銃だとすぐに音が伝わり、周りの敵がうようよと集まってくる。特にマシンガン系の銃は遠くまで音が響き、あちこちから敵が集まってきて厄介極まりない。敵はこちらに気付くと銃ですぐさま反撃してきたり、警報装置を鳴らして仲間を集めたりと極悪な動きをするので、なるべく静かに1人ずつ片付けていきたい。 特殊任務はそれぞれのステージにいろんな種類のものが用意されている。任務をすべて遂行しないとステージクリアとはならない。 たとえば第1ステージでは、 ・全ての警報装置の破壊 ・特殊モデムのセット ・運営データのバックアップ ・ダムの中央でバンジージャンプ が任務となる。 第1ステージはダムが舞台で、真下にある化学兵器工場へ潜入するための前段階なのだが、たとえば警報装置をすべて破壊しないままバンジージャンプして科学兵器工場に向かったとして、それではクリアとはならない。上の4つの条件をすべて満たさなくては次のステージ(第2ステージは化学兵器工場内)へと進まない。 本当にスパイになりきって楽しむ事ができる。それくらいに秀逸な作品。単身で敵陣に乗り込み、任務をきっちり遂行してその場から脱出、BGMには007のテーマ曲も流れて、気分は完全にジェームズ・ポンド、コードネーム007だ。 ゲームの難易度はちょっと高く、それなりにテレビゲームに遊びなれている人でないと途中で挫折してしまう気がする。難易度の設定ができるので、最初はイージーで遊んでみてフンイキを掴むと良い。 このゲームの弱点は、主人公の視点なので「酔いやすい」という事。主人公が走ったりデコボコ道を歩いたり敵と撃ち合いしたりの激しいアクションをする時は、当然に画面がせわしなく変化するのでクルマ酔いみたいな気分になってくる。かくいう自分も最初とても酔って、1時間くらいでプレイを中断した。その時は「これは遊べそうにないな…」と思ったのだけど、2、3日して遊んでみると前より酔わなくなっていて、しばらくしたらまったく酔わなくなって慣れてしまった。たぶん初めて遊んだときは落ち着きなく視点を変えたせいもあって酔ってしまったのだと思う。スパイらしく落ち着いて流れるように操作するようになってからは何の問題もなくなった。そうでなくても体が勝手に抵抗力を身に付けたような気もする。(「64のゼルダで酔った」という人をたまに目にするが、あの程度で酔ってしまうような人にはゴールデンアイはとても遊べない。昔自分はプレイステーションで「ムームー星人」とかなんとかいうゲームを遊んだのだけど、あれはかなり酷くて、酔って酔ってとてもつらくて遊べなかった。でも人気ゲームとしてしっかり名を馳せていた。あれに酔わない人ってのは相当スゴイと思うのだけど…。) このゲームは1人でクリアするにはなかなかつらくて、特に難易度の高いハードモードは特殊任務の数が増えているのでイージーモードよりもぐっと難しく、人に質問したくなるような場面が続出する。更には、それぞれのステージにおいて「お楽しみモード」というのを出現させるための条件があり、それがハードモード以上にきびしく設定されている。もう忘れてしまったが自分もどこかでつまずいて、そのままやる気をなくした。 しかしこのゲーム、攻略本がまた秀逸なデキなのである。小学館から発売されている普通の公式ガイドブックなのだが、これだけの難易度のゲームをサクサクとクリアできるように、場面場面を細かく指南してくれている。 自分は東京秋葉原のラオックス・ザ・コンピューター館でこの攻略本を入手した。たしか'99年頃だったと思うが、その当時でもゴールデンアイの攻略本を置いている店はかなり珍しかった。本当に「隠れた名作」であった。 攻略本を元にしてコンスタントに楽しくプレイし、最終的には全てのお楽しみモードを出現させた。全てのお楽しみモードを出現させればこのゲームを完全に「遊び込んだ」といって良く、それ以降はじょじょに遊ばなくなった。実際、全部のモードを出現させた時には「十分に遊んだ!」という気持ちになっていたし、最後のを出現させた瞬間はちょっとした達成感があり、ウレシカッタ。 このゲームには対戦モードがあり、4人まで同時に対戦できる。これがまたなかなか白熱をみせてオモシロイ。チャンバラごっこのようなノリで遊ぶ事ができる。これは任天堂のゲームの最大の特徴で、任天堂のゲームはそういった昔懐かしい遊びに通じるものが多く、テレビゲームながらあまり殺伐とした空気を放たない。 このゲームは万人に受けるとは思わないが間違いなく秀作である。007という事もあってアメリカではバカ売れしたゲームで、海外での評価は高い。自分はこのゲームを機会にしてレア社の作品に信頼をもつようになった。カセットは今でも大事にとってある。 ('02年04月17日制作) |
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