実況パワフルプロ野球(パワプロ)

(かなり批判的な内容です。このゲームを好きな人は読まないでください。)

こんなにムカついたゲームはない。このゲームは一言でいえば「ムカツキゲー」であって、そのムカツキを克服する力のある人だけが楽しめるゲームだ。

このゲームは、2頭身のキャラクターながら、実際の野球に近い形の操作で、よりリアルに楽しめる作りとなっている。お手軽に対戦可能な野球ゲームで、人気も高く、今も売れている作品だ。

「ただの野球ゲームなのに、どこにムカつく要素があるの?」とお思いの人もいるだろう。このゲームのムカつく要素は、すべて、ある1つのモードに集約している。それは「サクセスモード」だ!

「サクセスモード」とは、野球選手をあるストーリーの元で育成して、最終的に育った選手をゲームで使用できるという、一応は、とても魅力的なモードである。

パワプロは各選手に細かな能力が設定されている。たとえば、打撃パワー、肩、守備、走力などがすべて数値として個々に設定されており、数値では示せないものは特殊能力として、たとえば「アベレージヒッター(イチローのようによくヒットを打つようになる)」や「パワーヒッター(ホームランを打ちやすくなる)」や「ムラッ気(調子の良いときと悪いときの差が激しい)」のように、文字で設定されている。

上の説明が悪くて意味がワカラナイという人もいるだろうが、肝心なのは、各能力の数値が高くて特殊能力をいっぱい持った選手が強い、という事だ。で、「サクセスモード」では当然、そういった強い選手を育てる事が目標となる。

サクセスモードのストーリーはシリーズによって違いがあるが、自分が遊んだのは「高校生編」だった。(他に、大学生編のモードを遊んだ事がある。PS版の古いパワプロで。)

高校1年の入学式から始まり、野球部で練習したり合宿する中で少しずつ力をつけ、3年間ずっと甲子園を目指し、3年目にプロのスカウトの目に止まれば、晴れて育成した選手を通常のゲームで使用できる、というわけだ。

選手の能力は、日頃の練習や合宿で行うトレーニングでも上がるが、一番は、試合で勝つ事で上がる。なので、春夏の公式試合はできるだけ勝たねばならない。しかし、ゲームの勝敗はかなり運に支配されている。細かく説明するわけにもいかないので大雑把に説明すると、試合のほとんどはコンピューター任せで、コンピューターのサジ加減で、負けたり勝ったりするのだ。完全に運というわけでなく、それなりにプレイヤーの操作技術も重要になるのだが、操作技術が上手くても、運が悪くては成す術なしというケースが多い。

運に支配されているのは試合だけではない。試合以上に普段の生活が運に支配されている。

たとえば運が悪いと、4月あたりに選手が花粉症になったりする。花粉症になると野球の練習には集中できないので、強制的に病院通いをするはめになる。練習をせずに病院に通うわけだから当然強くなれない。それならまだしも、花粉症が治らなければ体調は絶不調のままで、どうする事もできない。花粉症が治るかどうかも運任せで、病院に行って一発で治る事もあるし、何回通っても治らない事もある。

何回通っても治らないとき、じょじょにムカムカしてくる…。

花粉症にかからずとも、たとえば練習中に捻挫したり骨折したり、ヒドイものになると複雑骨折なんていうものもある。トレーニングにはいろんな種類があるのだが、その多くがケガする可能性を秘めている。ケガをする率はそのときどきでしっかり表示されて、たとえば1%であれば比較的安心してトレーニングする事ができるし、30%であったなら危険があまりに高いのでトレーニングを休ませたりと、判断を手助けする材料となる。

1%にもかかわらずケガをしたとき、じわじわとムカムカしてくる…。

ケガをすると当然強制的に病院通いになるわけだがそれだけでは終わらない。骨折・複雑骨折ともなると、能力が大幅に激減する。たとえば複雑骨折では、再起不能なほどに「走力」の数値が下がる。たとえそこまで順調に育ってきた選手でも、複雑骨折をした時点ですべてをあきらめねばならない。複雑骨折は、トレーニングによるケガでのみ起きる事ではない。なんと、運が悪いと、選手がクルマによる交通事故にあって、有無を言わさずに複雑骨折で病院送りにされる。交通事故は完全に運で、回避する手段は一切存在しない。起きてしまえばもうあきらめるしかない。

交通事故が3年目の終盤に起きてせっかく育ってきた選手が台無しになったとき、ムカムカを通り越してムナシクナル…。

他にも、ダイジョーブ博士という低確率で能力の大幅の上昇を見込めるが高確率で実験が失敗して能力を低下させられるイヤな博士もいるし、ライバル選手達がイヤな裏工作をしてきたり、投手を育ててみるとすぐにヒジに爆弾を抱えて、卒業間近でヒジを壊して強制ゲームオーバーを迎えたり、レアな特殊能力を得るのにも大きな運が必要となってきたり…。

選手育成のコツは、「運を引き寄せる」という事。それがすべて。



…はっきりいってヒドスギ!

運がすべて、すべてじゃなくても7、8割方は運です。それも、理不尽なイベントがやけに充実していて、高校3年間のうちにそのどれにもぶち当たらないようにするのは苦難としか言いようがありません。このゲームの攻略サイトを見ると、「ムカついてコントローラーを思いっきり投げ打った」とか、「ムカついて投げたら反動でコントローラーが壊れた」とか、そういった話ばかり(のような感じ)です。ムカつきながらプレイして、運良く上手くいったときに言い知れない達成感を覚える。このゲームは、そういったゲーム。

果たして自分は、そういったゲームはゲームとして認めたくありません。中毒性を盾にして、まったくストレスを解消できないのにプレイしてしまうゲーム。ストレスを解消できないどころかむしろ強烈なストレスを浴びて、のめ ります。悪魔的です。

なんだか開発元のコナミさんに対してとてもヒドイ事を書いていますが、本当に申し訳ありません。自分はこのゲームを最後に、コナミのゲームはまったく遊ばなくなりました。もっと楽しくて、ストレスが解消できて、ムカつく事の少ないゲームを作ってもらいたい。

パワプロをプレイしていたのはインターネットを始める前で、インターネットを始めて、パワプロのファンサイトの有志の方達が、「メイクパスワード(選手をまったく自由に作成できるソフト)」なるものを公開しているのを発見したときには、非常に胸のすく思いがした。実際にメイクパスワードを使用したときには爽快極まりなかった。もしメイクパスワードなるソフトがなければいつまでもムカツキが滞留していただろうし、本当、あのとき公開していたサイトの管理人様には感謝しきれない。

('02年04月03日制作)

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